レオナルド・ダ・ヴィンチ 受胎告知(ウフィツィ美術館)絵画解説

レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年-1519年)
<受胎告知>
1475年ごろテンペラ 油彩 板 98×217cm
ウフィツィ美術館所蔵
レオナルド・ダ・ヴィンチがヴェロッキオの工房で学んでいたころの作品です。
もともと<受胎告知>はフィレンツェのモンテオリベート修道院にありましたが、後にウフィツィ美術館に移されました。
<受胎告知>は当初ギルランダイオの作品とみなされていましたが、
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品の特徴である、背景のぼかしによる遠近感、人物の動きのしなやかさ、
細部にまで行き届いている描写などがうかがわれ、
確かにレオナルドの作品であると断言できる作風で完成されています。
<受胎告知>はレオナルド・ダ・ヴィンチの若いころの大作です。
しかし、天使の足元の植物、背景の奥にいくほどかすんでゆく、ぼかしによる遠近法、など、若いころからすでに晩年の作風がかいま見て取れる絵画です。
<受胎告知>のテーマは数多くの画家により描かれてきた、聖書の一場面で、
大天使ガブリエルが、聖母マリアに神の子を授かったことを告知する心理劇がテーマとなりますが、レオナルド・ダ・ヴィンチの<受胎告知>は他の画家とは一風変わった演出で描かれています。
たいていの画家は、この突然の不思議な告知に聖母は内心とても驚いているように
表現されていますが、レオナルド・ダ・ヴィンチによる作品の聖母は、
わずか両手の微妙な表情に表されているだけです。
天使に注目してみると、ちょっと面白いです。
まず、羽の大きさ。天使の大きさからみられる体重は、描かれている羽の大きさではとても飛び立つことはできないでしょう。
そして、左手に持っている百合の花。
百合は聖母の純潔さを暗示しているため、<受胎告知>のテーマ・作品では必ずといってもいいほど登場します。
そして、レオナルド・ダ・ヴィンチによる百合の花は
他の画家の作品と比べると、とても緻密にリアルに描かれています。植物の素描を数多く描いたレオナルド・ダ・ヴィンチの
鋭い観察力が<受胎告知>では見ることができるのです。
補足ですが、レオナルド・ダ・ヴィンチの<受胎告知>は聖母の遠近感が少しズレてます。
聖母の右手をよ~く見てみると、なんとなくわかると思うのですが、体は奥に行きながらも、右手だけ妙に長く近くの物体手前に来ています。
しかし、右手が長い描き方は失敗したのではなく、計算されて描かれているのです。
<受胎告知>が修道院に飾られていたころに、
巡礼者が絵画を見るとき、絵画を右手前から人々が目にすることを考えて、
わざと遠近感をだして目の錯覚を利用しているのです。
ところで<受胎告知>は東京・国立博物館にやってきましたが、
みなさんは鑑賞されたでしょうか?私は美術館めぐりがすきなのでもちろん行きましたが、
<受胎告知>の絵画周辺はハンパなく混雑していました。
書籍で絵画を見るのもいいですが、
やはり、本物を目の前にしたときの感動は印刷物にはかないませんね♪
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