「透視図法によるマサッチョの聖三位一体の空間構成・遠近法」
15世紀マサッチョ(1401-28)はフィレンツェにおけるルネサンス絵画を確立しました。
ジョットの流れを汲み、遠近法を科学的に応用し、自由に使いこなしました。
マサッチョは代表作の一つ サンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂の壁画<聖三位一体>で、
光と遠近法を駆使しました。全体の構図は左右対称であり、筒型ブォルトの天井の描写は遠近法を的確に用いています。
線遠近法を厳密に使用し、消失点を見る者の目の位置に合わせました。この壁画<聖三位一体>についてヴァザーリは、
「遠近法で描かれた半円筒状の天井は、円窓を包含した形で枠付けられている。それは奥に向かうに従って巧妙に収縮していくのであたかも壁そのものがくりぬかれたかのようである。」
と、マサッチョにより描かれた奥行きのある空間、
建築モチーフのだまし絵的な技・イリュージョンの効果を評しています。
一点透視図法で簡明に描き出したこの明快な構成は、
<聖三位一体>というキリスト主題にふさわしい威厳に満ちた表現であり、これほど正確な遠近法による絵画空間は同時代の他の画家の作品にはあまりみられません。
ルネサンス期になり、以前までの光学研究者たちの「自然遠近法」に対して、
画家たちによる「技術的遠近法」が生まれました。絵画は、科学的理論から芸術の技法へとかわったのです。
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