「古代洞窟画の遠近法・壁画の絵画表現(ラスコー、アルタミラの動物画)」
二次元の画面内では、
上下または左右にある物の形は、思うように描くことは可能ですが、
前後の位置関係にある物を描くときは、なんらかの工夫が必要となってきます。
古代洞窟画についてあげてみると、
フランスのラスコー、
スペインのアルタミラ
など、
洞窟にはすぐれた動物画が顔料によって描かれています。
(先史時代(フランコ・カンタブリア美術)の美術作品です。)
その動物の描画は、岩面の隆起や割れ具合をたくみに利用して、
(壁面の凹凸を利用して)壁画があらわされています。角や蹄は正面から描かれています。
この描写は当時の人々の視覚の記憶に基づくもので、実相の模写ではありません。
これらの動物画は、形状、量感、動勢の表現にすぐれていますが、その周辺、動物を含む空間の表現はまったく見られません。
500点もある壁画のうち、
黒い牛の壁画に遠近法が使われています。手前の角が長く描かれ、奥の角は手前の角より短く描かれています。
エジプトの絵画は本来視覚に訴えるものですが、観念的、図式的な表現があり、
画面の下部は近く、上方ほど遠いものをあらわしました。
人物描写は部分によって横向きと正面、または半製正面が組み合わされました。
図像と図像がなんの意味もなく重なって描写されています。重なりの遠近法です。
<池のある庭園>では、平面図と正面図で描かれています。
この描き方は、明らかに、目に映るままを描いたのではなく、
対象の本質を描いたものです。多様な感覚から得られたものなのでしょう。
人が建物を作るようになってからも建物の壁面に絵画が描かれ続け、
絵画は人々の居住空間や神聖な空間との壁と常に共にある存在でした。古代洞窟画・古代エジプト絵画では、
対象そのものを描くのみで、対象を含む空間を描きあらわすことはありませんでした。
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