<受胎告知>
1333年制作 184×210cm 板 テンペラ
(第3室)
シモーネ・マルティーニはシエナ派を代表とする画家で、
<受胎告知>(祭壇画)の優美で装飾的な画風は国際ゴシック様式と呼ばれ、ヨーロッパ各地に広く知られていました。
<受胎告知>は金箔による荘厳な聖性の表現と、
テンペラによる華麗ともいえる世俗的優美さをマッチさせた、
ゴシック美術の傑作でもあるのです。
大天使ガブリエルの驚くべき知らせに身をよじる聖母が特徴的に描かれています。
当時シエナはライバルであるフィレンツェと並ぶ美術の中心地でありました。
そこで注目したいのが、シモーネ・マルティーニの<受胎告知>では
大天使ガブリエルが持つものは平和のシンボルであるオリーブが描かれています。
通常は聖処女マリアの純潔を意味するユリが描かれるのですが、
実はユリはライバルであるフィレンツェの紋章であったためで、
そこでオリーブにすりかえられたと考えられています。
<受胎告知>主題は、
大天使ガブリエルがマリアの前に突然姿をあらわし、「あなたは男の子を産むでしょう。その子にイエスという名をつけなさい」と告げると同時に
マリアが懐妊する、というエピソードであり、
聖書「ルカ福音書」に述べられています。
シモーネ・マルティーニの作品には「恵まれし女よ、おめでとう。主があなたとともにおられます。」という
ガブリエルの言葉が石膏(せっこう)地の盛りあげにより読み取れます。
通常大天使ガブリエルが手にするのは白ユリとされるのは、なぜなのかというと、
告知が春におこなわれた(12月25日より9ヶ月前)とする考えから、
聖母の無垢を象徴していると考えられます。
ところで、<受胎告知>のテーマはあらゆる画家による数多くの作品がありますが、
どれも通常、マリアがユダヤ神殿の幕を織るため、糸巻棒を手にしているところに大天使ガブリエルが登場するというのが
伝統的な表現となっています。
ここでもシモーネ・マルティーニの<受胎告知>は違いがみられます。
糸巻棒ではなく、本を手にしているのです。
14世紀のビザンティンのイコンでも糸巻棒を手にしていますが
ビザンティン時代の描写とシモーネ・マルティーニの作品をみくらべてみると、シモーネ・マルティーニの<受胎告知>では表情ははるかに人間的に描かれています。
そして15世紀末のボッティチェリの作品になると
より劇的な構図となり、見るものを圧倒させるものとなるのです。
シモーネ・マルティーニの作品より少し時代はさかのぼりますが、
ドゥッチョはジョット、チマブーエと同じように自然な表現へ傾向を示していましたが、シモーネ・マルティーニと同じシエナ派であるドゥッチョは、
ジョット、チマブーエとは異なる、やわらかな表現で、優美な聖母子を表現しました。
このながれが、シモーネ・マルティーニにうけつがれたのです。
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